虹の書斎

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桜との縁(えにし)

 

子供の頃、家の近くに桜並木の二車線道路があった。

ソメイヨシノが開花し始める頃になると、

通り沿いの一本一本の木に提灯が吊るされて、

多くの人が訪れるお祭りが開催された。


 

道の両側から空中に、溢れんばかりに覆いかぶさるソメイヨシノ

その薄ピンクの花がこしらえる、数kmに及ぶ美しいトンネル。

春本番の景色が、どこまでも続くように見える通りは、

お祭りの際には歩行者天国となった。


アニメのキャラクターやおかめひょっとこのお面。

色とりどりの水ヨーヨー風船。

金魚すくいに興じる子供や、手をつないでそぞろ歩きをする親子。

あんず飴や綿あめを手に、或いはたこ焼きを食べながら行き交う人々。

 

途切れることのない人出で賑わう通りには多くの屋台が出店し、

子供心にも胸打たれ、絶句するような繚乱のソメイヨシノの世界も、

その時ばかりは、焼きそばやお好み焼きの美味しい匂いが漂うような、

お祭り仕様となるのだった。

 
朝から晩までワクワクと気分高揚したまま、

花盛りの中、春を愛でるお祭りを満喫したり。

満開の下、花を見ながら沿道をプラプラと散歩して、

揺れ落ちる花びらに目を奪われたり。

 
ソメイヨシノを主とする桜の並木道の存在は、

祭りの週末も、生活音に満たされる日常においても、

住民達の安心感の素地、心の寄るべそのものだった。

地域に平和の息吹をもたらす桜は、

生活の中に根付く「共に生きるもの」であった。

 


高校の通学ルートの途中にある土手の上1kmに渡って、

大きなソメイヨシノが立ち並んでいた。

白に近いピンクがこんもりとして盛大な、満開のソメイヨシノ

朝と夕、川沿いに連なるその様に心奪われた春は、

花観賞に臨む人たち、楽しげに花見の宴会をする人たち、

しあわせそうな笑顔と遭遇する春でもあった。

 
社会人になってまだ間もない頃に暮らした街は、

桜の名所のようなところだった。

駅前の並木のみならず、街中から住宅地に至るまで、

幾種類もの桜が当たり前のように植えられ花をつけた。

近所のスーパーへの行き帰りや散歩道の街角が、

いきなり格別な装いで現れたみたいなその風景美に驚いて、

足を止めては花を愛でたり、写真を撮ったりした。

 

そして、ずいぶんと月日を経た今。

早咲きの河津桜や緋桜のあとを受けて、

近所の大通りや、雑木林、田んぼ端、川沿い、丘の上、小さな公園や駅前の広場など。

ソメイヨシノは目の前の圧巻の満開姿から、遠景に白い霞のように立ち現れる花姿まで、

今年も見応えのある花模様を、存分に見せてくれた。

 


独特の濃いピンクが華やかで美しい早咲きの桜花。

優しく淡いピンクが、湧き立つように豪華に花咲き栄え、

膨大な花びらが風に乗ってハラハラと舞い散るソメイヨシノ。


 

何十、何百、何千、何万…

誰にとっても身近な桜との、時を超える関わり。

太く濃い絆で結ばれる、人と桜との縁(えにし)の物語。 

誰もが皆それぞれにそれぞれの桜との歴史…

忘れられない出来事、心揺さぶる思い出が、

存在しているのだろう。

 

先日、花散らしの冷たい雨が降った。

ここのところの強風が花吹雪を巻き起こし、

川面には大小さまざまな花筏ができている。

ソメイヨシノは春を先へと進めるGOサインのように、

自らの花びらを手放して、すでに新緑へと向かい始めている。

 

今年もまた1つ、今年だけの、

桜の花、ソメイヨシノの花との物語が紡がれた。

 

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馨公