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虹の書斎

花散策文や詩、音楽やスポーツ、健康や時事関連等心の赴くままに記しています。

年をとって

エイジング

大きな書店に立ち寄り、店内をウロウロしていた。

空海最澄など、仏教にまつわる文庫が平積みにされたスペースに、

本を手に流し読みをする、2、3人の年配の男性達。

 

あぁそういえば…

仏教系の本がやけに中高年男性に人気があるけど、何故なのか。

若い頃に、不思議に思ってたことがあったな…

 

本屋内の光景を見て、何らかの回路がつながったらしく、

小さな記憶のカケラが甦り、

30年越しで、ふいにそんな事が思い出された。

 

今、自分自身がその年齢層に属するようになってみると、

当時の記憶への答えを、

心のうちに容易に見出すことができる。

何というか…

「年をとる」ということに、

感慨深いものを感じるばかりだ。

 

本当に年をとったのだなぁ…と、

心の中で少し目線が上を向く。

どこか他人事のように感じている自分もまだいるにはいるけど、

生きてきた道程がふと脳裏をよぎり、

絶えずにここまで、刻み続けてきてくれた心臓の鼓動に、

ただただありがたさを感じている自分もいる。

 

遠くにあるものと思っていたはずの、

日本古来の侘び寂びの美が、

妙にしっくりと、

心になじむようになってきている。

まもなく50歳になろうかという年齢を考えれば、

それもまた、自然の流れに則った運びなのだろう。

 


ところで、年をとると一言で言っても、

人の数だけ年のとり方は存在し、

自分の行く末のことでさえ、もちろんわからない。

 

やけに涙もろくなり、寒さがこたえるようになって。

老眼で財布から小銭を取り出すのもひと苦労…

そんな日々をどこか愉快に思い、楽しんでいる自分がいるのだが、

ここはまだ序の口に過ぎない。

 

地味と滋味、そして未知なイメージ。

中年老年期というフェーズを生きることは、

まるで体感したことがない、

知らなかった世界への体当たりの突入、探検である。

 

自分が実際に生きて味わう「ここ」と、

先輩諸氏から聞いてきた「ここ」は、

同じような景色に見えても、

その景色に対する反応やアプローチが人それぞれ違っているためか、

すでに味わいや肌ざわりが別ものとなっていて、面白い。

「ここから」先は、さらに個々での違いが出てくるのだろう。

 

誰もが年齢を重ねれば、向き合い、歩み進むことになる旅路だ。

人それぞれ、その旅模様は異なる。

ちょっと、ワクワクしている。

 


馨公