虹の書斎

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クチナシの花

 

今の時期、住宅街を歩いていたりすると、

どこかの家の庭に植えられているのだろう…

濃さのある甘さに、かすかな酸味とパウダリーな余韻のある、

クチナシの花の香りが、

風に乗って、フワリ鼻をかすめる時がある。

 

なんて素晴らしい香りなのだろう。

こんな風に、一瞬で人の心を捕らえ、

恍惚とさせてしまう甘美さは、

何に例えられるだろうか。

甘さが濃密でどこか生々しく、

そして繊細で複雑な、コクのあるこうばしさ。

 

数ある花々の中でも、金木犀や沈丁花と並び、

筆頭レベルに数えられるクチナシの芳香。

5、6枚の白の花弁を、

濃い緑の葉に敷き詰めるようにして、

開花時期の今、香り豊かに咲いている。

 

華やかさと重みと奥行き…まろやかさ。

エキゾチックで陶酔させるような、

抗いがたい、忘れがたいかぐわしさ。

その場から離れがたくなるような、

どこか禁断の趣さえあるこころよさ。

女性用の高級フレグランスに、

こぞって用いられるのも当然と思えてくる。

 

花粉を運んでもらうため、

虫を寄せる手段としてこの香りを生むのだろうけど、

果たして、どこをどう調香すれば、

この傑作の香りを、自らで生み出せるのか。

生き物としてのその力に、脱帽してしまう。

 

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よしたか

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