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虹の書斎

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ぼくにとっての荒井由実

 

心よりも深いところから、

不穏な揺れが伝わり、苛まれる時。

心よりもずっと深く、

沈潜して、向き合わなければならない時。

 

発作のように、荒井由実を、

聴きたくなることがある。

 


剥き出しの地表、暗雲立ち込める心景に、

距離のあるどこかから、風を斜めに渡らせて。

露骨な傷をかすめ、雲をほぐしながら、

痛みを拡げうすめて、不安を透かす。

 

ぼくの心には立ち入らず、

ぼくの側にいるわけでもなく。

もっと深い、底の方まで、

見えない姿で、ずっと来て、居る。

 

寄りかかれるほど近くではなく、

少し、温度を感じられるくらい。

触れることなく、触媒のような静かな気配で、

独りきりではないことを、伝える。

 

離れて、別であることで、安堵を。

無言のまま、居ることで、支えとなり。

そうやって、励まさずに鼓舞し、

暗闇の魔を、黒曜の光で散らす。

 


墨のように、黒檀のように。

暗闇に溶け込みながら、

それに飲みこまれてしまうことなく。

黒のみ近づける、闇に届いて救い。

 

黒真珠のように、黒水晶のように。

黒しか入れない闇の内側から、

飲み込まれてしまうことなく、

黒色の優しい光で、瞬く星たちを産む。

 


水彩に浮かぶ歌詞と旋律の向こうに、

生まれる前の、温もりある漆黒の次元。

時間では計れない場所の息吹をまとい、

時の流れていない宇宙で、歌を織る。

 

おごそかな先天の質、

優しい黒色と光、

荒井由実

 


(敬称略)

 

よしたか