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虹の書斎

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メンズ・セルフエステ 2

 

1からの続き

 

理論講習が無事に終わり、

続けてセルフ・フェイシャルケアの実技講習がスタートした。

 

まず洗顔をし始める。

顔を濡らして、洗顔料を指先に取り、

適切に馴染ませつつ全体にのばしていく。

直線的に肌をゴシゴシとこすると、強い摩擦が皮膚に過剰な負担をかけるし、

それでは汚れは取りきれない…との示唆。

小さくクルクルと円を描くような動きで…と指導が入る。

洗顔に続けて、

今度は使用量に注意しながらコットンに化粧水をとり、整肌をする…

 

インストラクターは過度に介入することなく、

1人1人の状況をチェックしては、

必要なアドバイスや適切なサポートを速やかに示して指導する。

参加者は一つ一つの工程作業に気を付けて、

分からないながらも近くの人と確認し合ったり、周りを真似てみたりして、

試行錯誤しつつもインストラクターの導きに従い、道筋を辿っていく…

 


洗顔、ディープクレンジング、簡単なフェイシャルマッサージ。

各人が自分なりに工夫して、セルフでフェイシャルケアを施していくうちに、

いつの間にか肌ケアをする参加者からは、

自意識過剰さや羞恥心が消え去っていた。

最後に仕上げのクリームを塗布する頃には、

クリームを伸ばしたり肌に入れ込んだりする手指や掌の使い方も、

ずいぶん様になっていた。

 

講習を開始した頃は本音ではイヤイヤの参加、逃げ腰的だった空気感。

それが実技講習が進み、知らなかったノウハウを実技を通して学ぶにつれて、

皆それぞれがケアすること、手技そのものを楽しんで、

場の雰囲気はまるで別の物へと変わっていった。

そして、お互いの肌の仕上がりを確認しては評価し合ったり、

自分でも知らなかった、本来の肌ツヤを見て驚く人がいたりと、

終わりの頃には、大変な盛り上がりとなったのである。

 

鏡を見て、自分の仕上がりを相当に喜んで、

目をキラキラさせて嬉しそうにしている姿。

実際目に見えて肌が整いキレイになったと、

ある種乙女?ようにはしゃいでいる男性達の姿は、

かなり微笑ましいものがあった。


よそよそしく、おどおどと、少し威丈高で、

それぞれさっきまで作っていたあの壁はいずこへ…

と思うところ無きにしも非ずではあったが、

こちらも参加者のそうした喜ぶ姿を見て、

心からの満足感とともに、素直に嬉しさを感じたのだった。

 


本来の健康な状態に近い、潤いのある血色の良い素肌には、

人を自然と喜ばせる美しい力が、そのように備わっている。

実際に自分の目でそれを見ると、女性だけでなくおじさんであっても、

いや、おそらくは自身の健康な素肌を見慣れていないおじさんだからこそ、

そんな風に嬉しさや喜びや快さをより一層感じて、

思わず笑顔になってしまったのかもしれない。

 

自分自身の本来に触れる、触れたというような感激や、

自分自身の肌のもつ健やかな美に気付き、驚きや喜びの実感を味わってもらうこと。

別世界のものとみなしてきた肌ケア、フェイシャルケアの、

その知識と実技のやり方を知り、

自分で実際に行い経験してもらうこと。

そういった体験、体感をしてもらえたらと願い行われた講習は、

予想以上に良い結末を迎え、

成功のうちに、無事終了した。

 

3へ続く

 


馨公

メンズ・セルフエステ 1

 

以前、勤めていた化粧品関連の会社で、

男性のための簡単なセルフ・フェイシャルケア講習、

つまり自分の肌を自分自身でケアしてもらうための実技講習を、

実施したことがあった。

 

その講習参加者のほとんどは、

髭剃り後にアフターシェーブローションを使用するくらい、

もしくは、普段から何もケアらしきことはしていないという、

肌知識も基礎化粧品知識も、実技をしたことも施術を受けたこともない、

40代中心の、典型的な日本のお父さん達。

 

その現場にいることに気恥ずかしさを感じている人。

所属する会社の命を受けての参加だから…とあえてクールに振る舞う人。

男にはどうなんですかねぇ…

と周りに話しかけて、不安を解こうとする人。

 

自分の顔を卓上ミラーで見つめながら、自ら人前でフェイシャルケアをする…?

 

まるで関係ないと思ってきた肌ケアなるものと、仕事とはいえ、こんな形で向き合うことになるとは…

 

この目の前に置かれているコットンや小さい容器も「自分が」使うんだよなぁ…

 

表し方はそれぞれに違っていても、

未知のことへの緊張を滲ませつつ、

ため息混じりの心の声が漏れ聞こえてきそうな面持ちで、

講習開始を待っていた。

皆、居心地が悪そうだった。

 


肌知識や化粧品のこと。

フェイシャルケアの工程や流れについて。

実技以前に理論の面においても、

ある程度分かっているところから学ぶ女性受講者とは異なり、

初心者の男性は全く手がかりがなく、まさにゼロからのスタートとなる。

 

内容を把握し、さらに興味を持ってもらうため、

そしてその後のスムーズな進行のためにも、

理論内容やその理屈、背景や歴史などの知識を、

頭、言葉で短時間のうちに理解してもらう必要がある。

知識を得て分かった状態になれば、

「知」そのものが前向きに取り組むモチベーションともなるし、

又、拠り所ともなってくれる。

不得手なことに挑もうとしている参加者達、

やや引き気味の企業人兼お父さん達を、

前のめりにし飽きさせないこと。

講習会の成功は座学にかかっていた。

 

ところで。

一般的に見て、中高年男性にとっての肌ケアは、

自分たちとは関係ない壁の向こう側のもの、女性の世界のもの、

というような意識がある。

特に高齢だったり、生まれ育った地域の風土習慣によって、

「美と男は相容れない」

「男たるもの」

の教えで育ってきたような、

「美」は男性性を毀損すると考える世代の男性には、

肌ケアとか保湿・保護クリーム、化粧水というようなワード自体が、

羞恥心やおののきを感じさせたり、

心理的な抵抗感を煽る一因となる。

 

「美ではなくて整」

「肌を整えることは美容というより健康につながる」

「エステではなく、男性の場合はエチケットの枠組みで」

のように、

男性が「理性的に」肯定しやすく、受け止めやすい概念を用いたり、

言葉を言い換えたり工夫することで、

肌やケアに対する、未知であるが故の不安や思い込みを取り除いていく。

女性の講習では、そのような作業を理論講習において、

同時進行で加えていくことはしない。

それは対男性、特に対中高年ならではの方策であった。

 

2に続く

 


馨公

ハクモクレンの花の魅力

 

なめらかで美しい白。

ハクモクレンの花の密度の濃い白色は、

濁りがなく均質なため、

光を受けると輝くように浮かび上がって見える。

 

厚みのある大ぶりの花びらが1枚1枚ゆったりと開いている姿には、

華美さではなく、むしろ慎みを感じるけれど、

花の豊かな存在感には堂々とした威が漂い、

優美でノーブルな落ち着きを醸している。

 

そんなハクモクレンは一方で、

枝先から唐突に大きな花が咲く様子に、

どこかぶっきらぼうというか、プリミティブな印象もあって。

エレガントな花姿とは裏腹に、

生命としての素朴さのようなものも窺わせる。

 

太古と洗練。

朴訥さと上品さ。

焦げ茶色で剥き出しの枝に、蓮に似た真っ白な花。

そうした対比、ミスマッチが同居しているからこそ、

ハクモクレンの麗しさや魅力は、

より際立って目に映るのかもしれない。

 

包み込むようなたっぷりの白の集積。

花のそばに居て観賞していたら、

安堵感にも似た静かな感慨と、

優雅でソフトな情感をふわっともたらしてくれた。

 

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馨公

 

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yoshitakacircle.hatenablog.com

 

ATP1000インディアンウェルズはフェデラー優勝

 

インディアンウェルズならではの抜けるような青い空。

カリフォルニアの強烈な日差しの下、

赤やブルー、イエローグリーンなど、

選手達のウェアやシューズがカラフルで目に楽しく、

コートさえ色鮮やか。

フェデラーのグリーンのウェアは珍しい、似合うねぇ」

「ワウリンカのターコイズと赤の取り合わせが派手だねぇ」などと、

プレイとはまた別のところでもインディアンウェルズを満喫した。

 

ATPマスターズ1000、BNPパリバ オープン。

 

過去に見たことがないくらい、

強者がこれでもかと集まってしまった死のブロック。

そこから誰が勝ち上がってくるのか全く予想がつかない中、

フェデラーナダルを破り、キリオスはジョコビッチを退け、

ベスト8で対決かと思いきや、

キリオスが不運にも食中毒に見舞われて棄権したために、

フェデラーがそのままベスト4に名乗りを上げることとなった。

好調だったキリオスのバネの効いた切れ味鋭いテニスと、フェデラーの高速テニスのマッチアップ。

実現していたら、どうなっていただろう。

 

準決勝、フェデラーは錦織選手をフルセットで下し勝ち上がったジャク・ソックに対し、

6-1,7-6で勝利。

決勝は、西岡選手やティエムなどとのフルセットを凌いで凌いで、

久しぶりにマスターズ決勝に勝ち上がってきたスタン・ワウリンカとの同胞対決。

シングルバックハンドが美しい、

個人的に大好きな2人の対戦となった。

 

際立って速い打点から生み出される高速テニスと、

精確無比なプレースメント。

緩急自在で、前後左右上下自在とでもいうのか…

有機的に、適確に、三次元を豊かに使いこなしながら、

強くてしなやか、華麗なプレイを繰り広げたフェデラー

灼熱のインディアンウェルズでも、

35歳とは到底思えないスタミナを維持していた。

 

一方、パワーと最強のバックハンド、メンタルタフネスを誇り、

闘争心も露わに勝利へ真っ直ぐに向かう、

誠実な人柄も素晴らしいワウリンカ。

なかなか手が届かなかったマスターズタイトルを獲得しようと、

力強いショットで揺さぶりをかけ随所でウィナーを取り、

終始集中したプレイぶりでフェデラーと対峙していた。

 

しかしそれでも、一日の長はフェデラーにあった。

緊迫したいい試合となった決勝は、

6-4,7-5でフェデラーが勝利しチャンピオンとなり、

インディアンウェルズ通算5度目となる優勝を果たした。

 


一瞬の凝結力や爆発力、瞬発力と脱力とのバランスの妙。

達人を超えて、仙人の領域にでもいるかのような自在性を感じさせるフェデラー

仮に試合に勝利しなかったとしても、

他の選手にはないこの稀有なる凄みは、少しも価値を下げない。

史上最高と言われ、さらに進化するテニス。

何故ここまで凄いのだろう。

何故ここまでできるのだろう。

 

35歳であろうが、全盛期は過ぎたかもしれなかろうが、

やっぱり、一段上にいる。

その事実を世界に向けて明確に提示したロジャー・フェデラーは、

オーストラリアに続き今期2勝目、

マスターズ1000においては通算25勝目、

キャリア通算90勝目となるツアー優勝を飾った。

試合の勝利数は1100にまもなく及ぶ。

 

試合後のインタビューでは、珍しくワウリンカが涙を流し、

やっぱりコメントにもいいヤツぶりが炸裂していて、

もらい泣きをしてしまった。

そしてフェデラーは、

このツアー勝利とここまでの道のりをフェアリーテールのようだとコメント。

初めてインディアンウェルズにきたのは17年前!に遡るそうだ。

試合後の姿を見ると、少しおでこの生え際が後退して、

穏やかなナイスミドル感、お父さん感が漂う。

確かに35歳なのだ。

 

次はマイアミが早速スタートする。

マレーとジョコビッチが右肘を痛めて欠場するとのこと。

ツォンガも参加を見合わせた。

1位2位のいないマスターズは他の選手にとって大きなチャンスとなるが、

錦織選手には相性の好い大会なので期待したい。

ただ、右肘は大丈夫なのだろうか。

西岡選手にはまた是非、上位選手をアプセットして欲しい。

 


馨公

 

花の色は

 

早咲きの桜花の、

したたり落ちるような濃いピンク色が、

まるで木から湧き出して溢れているみたい。

あんまり見事な色合いなので、

胸がときめくというか、心溶けそうというのか、

陶然と見入ったまま、

しばらくその場に立ち尽くしてしまった。

 

前日の雨にうたれたせいで、

花弁が少ししんなりと重たそうだけど、

雲がぬけて夕陽が射しはじめると、

黄金の輝きを含んだ花色はさらに艶やかに垂れて、

夕刻の風景の中、

本当にゴージャスに映えていた。

 

なんて花の色だろう…きれい

 

1年の今だけ、ひと時の出会い。

鮮やかなピンクがたまらなく素敵な、

桜花の美麗なカタルシス

 

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馨公

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梅林にて

 

目の前にほころぶ梅一輪一輪を愛で

美しさを讃えて

白くて小さなまるい花びらが

競うように重なり合い、蕾もたくさん

交錯する枝々に溢れんばかりに咲く

可憐で愛らしい梅の花たち

見上げると、満開の白に夕空の広がり

思わずため息が漏れた

 

光が彼方へと薄れ

別次元に沈みゆくシンと冷えだした場に

ほのかに漂う馥郁たる香りが

なんて優しいのだろう

しっかりと地に根付いて佇む

芯の定まった梅の木々たちの

根元から立ちこめる幽かで安らかな静謐が

梅林を支えていた

 

雪の降るような厳しい環境にもひるまず

蕾をつけ花開いて、春を告げる梅

冬の間に縮こまって強張る自然を

ふわりと和らげるのは

精妙で清らかなアルペジオのような

白梅が奏でる生命の響き

暗くなった戻りの道

その典雅な調べが、冬をそっと解いていた

 

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馨公

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境目の海

 

この世の己れをしばし離れて

空想の波間に浮かび行きつ戻りつ

あれこれと思い描いてはパシャパシャと打ち消して

境目の海を満喫した昼下がり

 

波打ち際の方から聞こえてくる

僕の名を呼ぶ馴染みの声には応えない

亜空の浅瀬で水にたゆたいながら

当て所なく生れ出る泡の姿をただ愉しんだ

 

まどろみに似た乳白色の凪と紫紺に向かう沖の空

時折り寄せる波が水面を揺らすと

任せている身があちらへこちらへゆらり移ろい

その度に、そういえば…と心もつられて翻る

 

イメージと戯れるための海に憩う

また不意に訪れることもあるだろうか

磯辺の岩に登り海岸に別れを告げようとした刹那

重力ある此岸へと架かる、透明な橋を渡った

 


馨公

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強風の梅

春らしい陽気の日がポツリポツリ。

水気を含んだ生温かい強風の日も増えてきて、

シベリア由来の真冬の寒気と、

南海から運びこまれる春近しの便りが、

交互に入り組むように訪れ始めている。

猛烈な雪模様を伝えるニュースはそろそろなりを潜め、

スギ花粉の飛散量に耳目が集まる日々へと、このまま移行するのだろうか。

今日はいわゆる春二番の猛烈な風から降雨へと進む、

荒れた天候だった。

 

2月も後半に入り、少しずつ季節が動き出している。

紅白の梅がたくさんの蕾をつけて、

日当たりの良い辺りでは可憐な花がすでに豊かに咲いており、

あと少しで満開を迎えそうだ。

近所の農地や樹園には白梅が多く植えられているため、

遠目から見ると、白い雪を枝々にふんわりと纏うようで、

素敵な風情がある。

 

穏やかな微笑みのように静かな佇まいで、

典雅で品のあるゆとり、清らかで微かな涼やかさのある香りを漂わせて、

落ち着いた雰囲気を場にもたらしている白梅の木々。

 

激しい強風が昼のあいだずっと吹き続け、

建物を揺らしては、びゅうびゅう轟々と暴風の音をなり響かせていた中、

梅の花の香りが窓から入り込む空気に乗って、

部屋にまで届けられた。

静かな質感とそのほのかな優しさを、

離れたところから分け与えてくれているみたいだ…

荒々しい強風の渦の内側で梅の芳香に包まれた、

意外なうれしさの1日となった。

 

 

馨公

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